「WAXを塗る」 今の時代なら、Youtubeでもgoogleでも当たり前に情報が手に入る世の中だから、WAXを塗らずに海に入ったりするなんてとても馬鹿げてるように聞こえる。 でもあの頃は色々な''当たり前''?が無いサーファー?がたくさんいた。
フィンが逆向きだったり、むしろついてなかったり、サーフボードに逆向きに乗ってたり。
特に良い先輩やコミュニティに巡り合ってなければ、傍目でもわかるくらい「わかってない」感じに仕上がっていた。
なにしろ僕は初めてのWAX購入に近所のサーフショップへ行った。
そこは当時にしては大きい方の立派なサーフショップで、たくさんのWAXが色とりどりのパッケージにずらっと陳列されていた。
「どう違うんですか?」
と聞く僕は当時15か16歳、金髪にアロハシャツで彼女連れの姿が鼻についたのか
「全部一緒です。」
と20前後の店員が鼻で笑いながら言った。
「こんな店二度と来ねえ!」
そう思いながらも見覚えのある「SEXWAX」を適当に一つとり初めてのサーフショップを後にした。
WAXを見よう見まね、覚えてる感じでゴリゴリ塗るとサーフボードはまるで生まれ変わり、僕もツルツル滑ることなくパドルもサーフィンライフも進み出した。
・・なんて簡単にはいかない。
海から遠かった僕はバスで1,2回行っただけでその年を終えた。
「サーフィン?もちろんやったことあるよ!」
海では何度も巻かれ、波に乗れたかなんか覚えてない。
ただサーフィンに行ったというそのステータスを手に入れただけで十分だったのかもしれないし、少なくともサーフィンの楽しさは経験できていない。
きっとサーフショップのスタッフはそれを見透かした態度を取っていたのだと思う。
こいつ、''わかってねえな''と。
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